2025/02/19
施工管理の年収を徹底比較!資格の有無でどれくらい違う?
施工管理の年収の基本
1. 施工管理の平均年収
2. 資格による年収の差
年収に影響する主要な要因
1. 経験と役職
2. 就職する地域
工事の種類や企業規模における実態
1. 工事の種類
2. 会社の規模
他の電気系資格との比較
1. 施工管理技士と電気主任技術者の違い
2. 電気工事士と施工管理技士の比較
施工管理技士の資格取得メリットと労働環境
1. 労働環境と改善傾向
2. 資格取得のメリット
まとめ
施工管理の仕事は、建設現場を監督し、安全や品質を確保する重要な役割を担います。工事の進行に欠かせない職種として、年収水準が高いイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には、資格の有無や経験年数、担当する工事の種類や勤務する企業規模などによって、年間収入には大きな開きがあります。この記事では、施工管理の年収にまつわる基礎知識から、資格取得の影響、働くエリアや会社の規模による違いなどを分かりやすく整理します。転職を考える際の判断材料として、ご自身のキャリアプランや希望の働き方をイメージしてみてください。
施工管理の年収の基本
施工管理の年収を検討する場合、まずは全体の平均値を把握しましょう。一般的な国内平均給与と比べながら、施工管理の給与水準がどの程度に位置するのかを確認すると、仕事選びの指針になります。さらに、資格を持つかどうかも大きく影響を与えます。ここでは、施工管理の平均年収と資格による差を見ていきます。
1. 施工管理の平均年収
施工管理に携わる人材は、建設業全体の中でも比較的高めの報酬が期待できると言われがちです。日本国内の平均年収と比較すると、たしかに施工管理技士のボリュームゾーンは400万円から500万円ほどであり、平均よりもやや高い水準になります。ただし、これはあくまでも一例であり、さらに上を狙える可能性も十分にあります。
実務経験が増えていくと、500万円を超える例もしばしば見受けられます。特に大手企業で大規模案件を担当するケースや、専門性の高い工事に携わる場合は報酬面での上振れが期待できるでしょう。逆に、経験が浅いうちは年収350万円程度の募集も存在するため、「未経験だからとにかく仕事を始めたい」という方はここからスタートすることも珍しくありません。
さらに、20代後半で400万〜500万円程度、30代中頃から40代前半で500万〜700万円程度、そして50代になると700万円以上というキャリアプランも考えられます。全体としては、建設業界内の水準から見ると標準的なラインに位置していることが多いですが、企業規模や案件種類によって大きく変動する点に注意が必要です。
2. 資格による年収の差
施工管理において資格が大きな意味を持つのは事実です。1級施工管理技士を保有すると、募集条件として年収500万円以上の案件が比較的多くなり、実務経験を重ねるほどに収入アップが見込めます。一方、2級施工管理技士でも年収400万円以上は十分に期待できるため、入門として取得を狙う方にとっては良い選択肢になるでしょう。
それでは、無資格だとどうなるのでしょうか。未経験者OKの求人を見ると、初年度の年収は350万円程度からスタートすることが多いようです。やはり無資格の状態で経験を積む場合は、企業側からすると教育コストが必要となるため、スタート時の年収はやや抑えられがちです。しかし、数年の実務経験をこなしながら資格を取得すると、大きな給与アップが見込めるため、学ぶ意欲を持つ方にとってはチャンスといえるでしょう。
年収に影響する主要な要因
施工管理の年収は、資格の有無だけで左右されるわけではありません。企業がどのように評価しているか、あるいは担当するプロジェクトの規模や特殊性など、多角的な要素が絡み合います。ここでは、経験や役職、担当エリアといった要因にフォーカスして解説します。
1. 経験と役職
経験年数の長さや役職の有無は、年収を大きく左右します。施工管理の現場経験は実践的なノウハウやトラブル対応力を身につけるうえで欠かせません。実務に携わる期間が長いほど、施工手順や安全管理などを効率的に行えるようになるため、企業からの評価も高まりやすくなります。
特に、大きな案件で責任あるポジションを任されるようになると、年収は一気に上昇する傾向があります。例えば、20代後半で2級施工管理技士を持っている場合に年収500万円程度であっても、30代に入り1級施工管理技士の資格を取り、現場主任や所長などの役職を担うようになると600万円〜700万円の領域に近づきます。長期的にキャリアアップを考えるのであれば、最初は平均的な年収であっても、継続的な成長を意識したほうがよいでしょう。
なお、管理職ポジションになると、現場だけでなく書類管理や人材育成、発注者との折衝など業務範囲も広がります。その分、仕事量は増えがちですが、その負荷に見合った報酬を受けられる可能性が高まる点はメリットといえます。
2. 就職する地域
同じ仕事でも、勤務地によって年収が大きく異なるケースがあります。首都圏や大都市圏は大規模な建設プロジェクトが多いことや、物価が高いことに伴って給与水準も高めになりやすいです。一方、地方圏では企業規模自体が小さい場合も多く、大都市圏よりもやや低い水準が一般的です。
とはいえ、この差は必ずしも永続的というわけではありません。地方においても、大型施設の建設や災害復興事業が活発な地域では、高めの給与条件が提示されることもあります。特に、国際イベントや災害時の緊急対応など、案件が集中するシーズンは給与が一時的に上振れする傾向があります。ただし転勤や地域限定採用など、働き方の自由度にはばらつきがあるので、年収と合わせて勤務条件もしっかりと確認しておいたほうが安心です。
工事の種類や企業規模における実態
施工管理と一口に言っても、担当する案件の種類によって必要な知識や求められる技術は大きく変わります。さらに、会社の規模や元請け・下請けの立場も、収入に差を生む要因の一つです。ここでは、工事の種類と企業規模に焦点を当てて掘り下げていきます。
1. 工事の種類
建設業界では、同じ施工管理でも扱う工事内容が多岐にわたります。公共施設の建設、商業施設の改修、住宅リフォーム、あるいは通信インフラ構築など、どの分野を主戦場とするかで年収帯に違いが出るのが特徴です。例えば、商業施設の新築や大規模改修では400万〜600万円程度の募集が比較的多い一方、データセンターや再生可能エネルギー施設の案件では、高度な専門知識を要するため550万〜900万円を狙える案件もあります。
また、公共施設の担当は比較的規模が安定しているものの、予算や工期が厳格に定められているため、突発的な残業が発生しやすいという意見もあります。それに対し、民間企業のオフィスビルなどでは、顧客折衝の幅がかなり広いですが、プロジェクトの自由度が高い分、工期延長のリスクを企業がカバーしてくれるケースもあります。こうした違いを踏まえて、「自分がどの分野でスキルを伸ばしたいか」を意識することが、年収アップへの一つの近道になるでしょう。
2. 会社の規模
ゼネコンなどの元請け企業ほど年収が高く、下請けや末端の専門工事会社に近づくほどやや低めにとどまる傾向があります。大手のスーパーゼネコンでは平均年収が1,000万円を超える例も珍しくなく、建設業界の中では圧倒的といえるでしょう。しかし、その分競争率が高いことや、転勤や大規模プロジェクトへの配属など、環境面での適応力が求められる側面もあります。
一方、中小規模の企業や、地域密着型の工務店では、年収自体は大手ほどではないものの、アットホームな環境や転勤の少なさといったメリットが挙げられます。また、社長や役員との距離が近く、施工管理スタッフが経営層と直接コミュニケーションを取る機会も多いです。その結果、実績を認められやすく、実力次第で年収が大幅に上がる可能性もあるため、必ずしも「大企業だけが正解」とはいいきれないところがあります。
他の電気系資格との比較
施工管理技士の年収をよりリアルに把握するには、近い分野である電気系資格と比較してみるのも一案です。電気主任技術者や電気工事士など、いずれも専門的なスキルが求められる職種ですが、その年収や資格手当にはどのような差があるのでしょうか。ここでは代表的な資格との比較や、メリット・デメリットを整理します。
1. 施工管理技士と電気主任技術者の違い
電気主任技術者の資格は、発電プラントや電力設備の保安管理を行う立場に就く際に必須とされるケースがあります。一般的には電験三種を保有していると400万〜500万円前後の年収が目安とされ、上位の一種、二種などを取得すると待遇面がさらに良くなることもあります。
ただし、施工管理技士は現場全体を管理するポジションであり、工事計画から品質管理、スタッフへの指示など責任範囲が広い点が特徴です。プロジェクトの大小にかかわらず、工期通りに完了させるための調整能力や、各種申請書類の作成が求められます。一方、電気主任技術者は電気設備の専門家としての立ち位置が強く、対象範囲がより限定される印象です。年収面では、やや戻りが大きいのが施工管理技士ともいわれており、同じ技術系でも職務内容には大きな差があります。
職場の選択によって必要とされる資格が異なるため、自身が将来的に携わりたいプロジェクトの種類を明確にしておくと良いでしょう。施工管理技士としてのスキルを伸ばすことで、電力設備を含む幅広い案件を手掛けられるチャンスが広がる可能性もあります。
2. 電気工事士と施工管理技士の比較
電気工事士はどちらかというと実務に直結した技能を証明する資格であり、現場作業を伴うことが多いです。第一種・第二種といった区分があり、報酬面では350万〜550万円程度が目安とされています。施工管理に近い領域では、電気工事管理のポジションを任されることもありますが、実質的には配線工事や計装工事の現場スタッフとしてのウエイトが大きい傾向があります。
それに対して、施工管理技士はややデスクワーク的な業務も多く、書類作成やスケジュール管理にも時間を割きます。施工図の確認や業者との打ち合わせなど、段取り力やマネジメント力が求められるため、年収テーブルは全体的に高めです。資格手当も比較的手厚いため、同じ建設系資格の中でも認知度と需要は高い立ち位置にあると考えられます。
施工管理技士と電気系資格を大まかに比較してみると、以下の表のようになります。
資格 | 想定年収 | 特徴 |
---|---|---|
1級施工管理技士 | 500万円以上 | 建設現場全体を指揮する立場。昇進や大規模案件で収入アップに期待。 |
2級施工管理技士 | 400万円以上 | 比較的スタートしやすい資格。経験を積むことで昇給可能。 |
電験三種 | 400万〜500万円 | 電力設備の保安管理に携わる。上位の資格でさらに収入アップ。 |
第一種・第二種電気工事士 | 350万〜550万円 | 実務中心の資格。配線などの作業がメイン。 |
このように、施工管理技士は工事全体の指揮を執るポジションであるため、電気系の有資格者と比べてもやや高い年収水準に達しやすいといわれています。また、資格手当が加算されるケースが多いので、転職を見据えて資格取得を目指す方が増えているのが現状です。
施工管理技士の資格取得メリットと労働環境
施工管理の世界では、多くの企業が資格保有者を求めています。理由として、国家資格を持つことで安全管理や技術力を担保できるという点が大きいです。さらに、労働環境についても近年は改善の波が少しずつ広がっています。ここでは、その実態と資格取得のメリットを整理します。
1. 労働環境と改善傾向
施工管理の仕事には、残業の多さや休日の少なさといった課題もあると指摘されています。現場作業が天候に左右されやすく、工期が押すと休日出勤や長時間労働を余儀なくされることが多いからです。加えて、気候変動や感染症対策など、近年は不測の事態が発生しやすいため、作業フロー自体に余裕を持たせるのが難しいという事情も見逃せません。
しかし、国交省が進める働き方改革や「新・担い手三法」の影響により、週休2日制の導入や労働時間の短縮を目指す企業が徐々に増えています。大手ゼネコンを中心に、工事日程の組み方や業務プロセスを見直す動きが出てきており、週休2日制を採用する求人情報も探せば見つかるようになってきました。
ただし、現場の状況によっては理想通りにいかないことも多いです。担当するプロジェクトの工程管理をしながら自分の休日を確保する難しさは依然として存在します。とはいえ、ここ数年の流れを見ると、労働環境は以前より少しずつ改善されている傾向があり、今後も好転が期待できるでしょう。
2. 資格取得のメリット
施工管理技士の資格を取得すると、会社からの評価が上がりやすくなり、年収アップにつながる可能性が高いです。特に、1級施工管理技士は大規模案件を担当する際に欠かせない存在とみなされるため、転職の場面でも好条件で迎えられることが多くなります。そもそも建設業界はベテラン層の引退が進んでおり、管理職クラスの求人ニーズは今後も続くと考えられます。
施工管理技士の資格を持っていることで、現場監督だけでなく、安全管理の責任者や品質管理のスペシャリストとしてキャリアを広げやすくなります。加えて、資格手当などの経済的メリットがある点も見逃せません。会社によって額は異なりますが、月に数千円から数万円の手当が支給されるケースが一般的です。無資格と比較すると総年収で数十万円の差となることもあるため、早めの取得を目指す人が多いのも納得できます。
年齢を問わず狙えるポジションが多いことも大きなメリットです。若手でなくても実務経験があれば十分に評価される場面があり、中堅・ベテランが資格保有を武器に転職を成功させる例も少なくありません。これから資格取得を考えている方は、学習時間の確保や実務経験とのバランスに留意しつつ、計画的に受験にのぞむと良いでしょう。
まとめ
施工管理の年収は、資格や経験、担当分野、企業規模などによって大きく変動します。資格を取得することで活躍の場が広がり、高収入を狙うことが可能です。働き方改革の進展に伴い、労働環境の改善も進んでいます。早めに情報収集を行い、資格取得やキャリアプランの検討を始めてみてください。
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