2025/02/19
設計事務所の働き方を知る
設計事務所の仕事内容
1. 設計事務所が扱う建物の種類
2. 設計事務所の業務内容
3. 他業態の設計士との違い
4. 設計事務所の設計士の働き方
設計事務所の設計士に求められるスキル
1. 設計能力
2. コミュニケーション能力
3. 役立つ資格
設計事務所の設計士のやりがい
1. 基本設計から建物が形になるまでの過程
2. 自分が生み出した建物への達成感
設計事務所の設計士に向いている人材像
1. ゼロからイメージを生み出す創造力
2. 多様な関係者との協業
3. コミュニケーション能力の重要性
4. ワークライフバランスへの考え方
まとめ
設計事務所で働く設計士の業務内容や働き方は、アトリエ事務所やゼネコンの設計士とは大きく異なります。設計事務所の設計士は意匠設計から設備設計まで幅広く担当し、官公庁の建物を扱うことも多いのが特徴です。
この記事では、設計事務所の設計士の具体的な業務内容や求められるスキル、やりがいなどを徹底的に解説します。設計士を目指す人や転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
設計事務所の仕事内容
設計事務所の仕事内容について、まずは設計事務所が扱う建物の種類と規模を見ていきましょう。次に、設計事務所の具体的な業務内容について説明します。
1. 設計事務所が扱う建物の種類
設計事務所では、意匠設計・構造設計・設備設計の専門家が揃っているため、店舗、オフィス、ホテル、集合住宅、病院、学校など、さまざまな用途の建物を扱うことができます。規模も大小さまざまで、特に官庁施設を扱うことが多いのが設計事務所の特徴です。
官庁施設は設計施工分離発注方式が採用されることが多く、ゼネコンは設計者として入札できない場合が多いため、設計事務所が担当するのが一般的です。地域の顔となる建物の設計を目指す人に適しているでしょう。
2. 設計事務所の業務内容
設計事務所の業務は、設計図書を作成し、施工会社に引き渡すまでが一般的な範囲です。以下のような流れで進行します。
- 建築主のヒアリング:建築主のイメージをヒアリングし、コンセプトを作り上げる。
- 基本設計:コンセプトを基に、建物のボリュームや配置、各層の用途計画をまとめる。
- 提案・入札:基本設計を建築主に提案し、方向性を合意する。プロジェクトによっては複数の設計者から選定される入札形式の場合もある。
- 実施設計:建築主とコミュニケーションを重ねながら、内装材や部屋の配置を決定し、設計図書を完成させる。
- 施工会社の選定・設計図書の引渡し:施工会社の選定は建築主が行い、選定後に設計図書の意図を施工会社に説明し、図書を引き渡す。
- 施工監理:プロジェクトによって担当が異なり、設計事務所の設計者が監理を担当することもある。現場を訪問し、設計図書どおりに施工されているか確認・検査を行う。
3. 他業態の設計士との違い
設計事務所の設計士は、アトリエ事務所やゼネコンの設計士とは働き方が異なります。ここでは、それぞれの違いを見ていきましょう。
アトリエ事務所では、建築家をトップとしたデザイン重視の設計が行われます。意匠設計・構造設計・設備設計が同じ事務所に揃わず、外部の専門事務所とタッグを組むことが一般的です。一方、ゼネコンでは竣工建物が成果物となり、設計士の役割が広範囲に及びます。コストや施工性に応じた設計変更を行い、実現性の高いデザインを追求するのが特徴です。
業態 | 働き方の特徴 |
---|---|
アトリエ事務所 | デザインへのこだわりが強く、時間外労働が多い。 |
ゼネコン | 急な現場対応が多く、時間外労働が発生しやすい。 |
設計事務所 | 比較的自分で時間をコントロールしやすい。 |
4. 設計事務所の設計士の働き方
設計事務所の設計士に求められるスキルとして、設計能力とコミュニケーション能力が挙げられます。建築主の意向を汲み取りつつ、自身のデザインを設計図書にまとめる能力が必要不可欠です。また、社内の仲間、他の専門事務所の設計士、施工者、メーカー、建築主など、多様な関係者とやり取りを行う力も求められます。
設計事務所の設計士のやりがいは、基本設計から思い描いた建物が形になることにあります。敷地に何もない状態からデザインできるため、「自分が生み出した」という達成感を得られるでしょう。ゼロからイメージを生み出すことが得意で、多くの関係者と協業するのが好きな人に向いている職業だと言えます。
設計事務所の設計士に求められるスキル
設計事務所の設計士には、高度な専門性と幅広いコミュニケーション能力が求められます。ここでは、設計士に必要不可欠なスキルについて詳しく見ていきましょう。
1. 設計能力
設計士の中核となるのは、何よりも優れた設計能力です。建築主の意向を的確に汲み取り、それを自身の創造性と融合させて、魅力的な設計図書にまとめ上げる力が必要とされます。
設計のプロセスでは、平面図や立面図、パース、3Dモデルなど、様々な手法を駆使して建築主に提案を行います。建築主が納得し、満足できる形で設計意図を伝えられるプレゼンテーション能力も、設計士には欠かせません。
2. コミュニケーション能力
設計事務所の設計士は、社内外の多様な関係者とのコミュニケーションが業務の大半を占めます。意匠・構造・設備など他分野の専門家、施工者、建材メーカー、そして建築主など、立場や専門性の異なる人々と密に連携を取る必要があるのです。
複雑な法律や規準、設計意図などを、相手に応じて具体的かつ簡潔に伝える能力が求められます。円滑なコミュニケーションなくして、高い品質の建築を実現することはできないでしょう。
3. 役立つ資格
設計士としてのキャリアを築いていく上で、専門的な資格を取得しておくことは非常に有利です。中でも一級建築士は、設計事務所で働く上で必須とも言える資格です。
二級建築士や木造建築士といった建築士資格も、就職活動の際に高く評価されます。また、インテリアコーディネーター資格を取得しておけば、より幅広い設計業務に対応できるでしょう。最近では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のスキルを持つ設計士も多く求められています。
設計事務所で活躍する設計士には、高度な設計能力とコミュニケーション能力、そして専門的な資格が求められます。これらのスキルを磨き、建築主の夢を形にする喜びを味わってみてはいかがでしょうか。
設計事務所の設計士のやりがい
設計事務所の設計士にとって、最大のやりがいとはなんでしょう。ここでは、設計士が感じるやりがいについて詳しく見ていきましょう。
1. 基本設計から建物が形になるまでの過程
設計事務所の設計士は、建物の基本設計から完成に至るまでの全工程に関わることができます。最初のクライアントヒアリングでは、建築主の要望やイメージを丁寧に聞き取り、それをもとにコンセプトを練り上げていきます。
次に、そのコンセプトを基に建物のボリュームや配置、各階の用途などを決めていく基本設計の段階へと進みます。ここで作成した図面をクライアントに提案し、方向性の合意を取り付けます。
その後、実施設計では、クライアントとのコミュニケーションを重ねながら、内装材や部屋の配置など、より詳細な設計を進めていきます。こうして完成した設計図書は、施工会社に引き渡され、いよいよ建設工事がスタートします。
着工から竣工に至るまで、設計士は施工監理者として現場に足を運び、設計図書通りに工事が進んでいるかをチェックします。このように、建物が完成するまでの全工程に関わり、自分の設計が形になっていく過程を見届けられることが、設計士の大きなやりがいとなっているのです。
2. 自分が生み出した建物への達成感
設計事務所の設計士は、何もない更地から新しい建物を生み出すことができます。クライアントの要望を形にするために、自身の感性とデザイン力を存分に発揮できるのです。
設計の過程では、法規制や予算、工期など、様々な制約条件をクリアしながら、クライアントの満足度を高めていかなければなりません。時には厳しい交渉も必要となるでしょう。しかしその分、完成した建物を見たときの達成感は格別なものがあります。
人々の生活の基盤となる建物を、ゼロから生み出せるのは設計士だけです。「自分が設計した建物が、街の景観を形作っている」という誇りを持てることが、設計士という仕事の醍醐味だと言えるでしょう。この喜びを糧に、設計士は新たなプロジェクトに挑戦し続けているのです。
設計事務所の設計士に向いている人材像
では、具体的にどのような人材が設計事務所の設計士に向いているのでしょうか。ここでは要求される業務の内容から逆算した人物像・人材像を紹介します。
1. ゼロからイメージを生み出す創造力
設計事務所の設計士には、クライアントの要望を形にする創造力が求められます。敷地に何もない状態から、建物のデザインを生み出していく必要があるのです。
設計士は、建築主の意向をヒアリングし、コンセプトを作り上げていきます。そのコンセプトを基に、建物のボリュームや配置、各層の用途計画をまとめていくのです。ゼロベースから発想し、イメージを具体化していく創造力が不可欠だと言えるでしょう。
2. 多様な関係者との協業
設計事務所の設計士は、多様な関係者と協業しながら業務を進めていきます。社内の仲間はもちろん、他の専門事務所の設計士、施工者、メーカー、建築主など、さまざまな立場の人々とやり取りを行うのです。
複雑な法律や設計意図を、具体的かつ簡潔に伝える能力が求められます。多様な関係者と協力しながら、プロジェクトを成功に導くことができる人材が求められているのです。
3. コミュニケーション能力の重要性
前述の通り、設計事務所の設計士には高いコミュニケーション能力が求められます。建築主の意向を的確に汲み取り、自身のデザインを設計図書にまとめていく必要があるからです。
図面や3Dモデルを用いて、建築主が納得する形で提案を行う力が不可欠です。複雑な内容を分かりやすく伝え、関係者の理解と協力を得ていくコミュニケーション能力が、設計士には欠かせません。
4. ワークライフバランスへの考え方
設計事務所の設計士は、比較的自分の時間をコントロールしやすい環境にあります。アトリエ事務所やゼネコンに比べると、急な対応が少なく、時間外労働も発生しにくいのです。
ただし、プロジェクトによっては締め切りに追われることもあるでしょう。ある程度仕事に偏ったライフスタイルでも、やりがいを感じられる人が向いていると言えます。
まとめ
この記事では、設計事務所の設計士の仕事内容や求められるスキル、やりがいについて詳しく解説しました。設計事務所の設計士は、さまざまな用途の建物を扱い、意匠設計から設備設計まで幅広く担当します。
設計士には高度な設計能力とコミュニケーション能力が求められ、建築主の意向を汲み取りつつ、自身の創造性を発揮することが重要です。やりがいは、基本設計から建物が完成するまでの全工程に関われることと、自分が生み出した建物への達成感にあるでしょう。
設計士を目指す人は、建築士の資格取得を目指すことをおすすめします。特に一級建築士の資格は、キャリアアップと収入増加に大きく影響します。自分の創造力を存分に発揮し、社会に貢献できる建物を生み出せる設計士という仕事に、ぜひチャレンジしてみてください。
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