2025/02/11
年収・給与について知る
施工管理の仕事内容と役割
1. 施工管理とは何か
2. 施工管理の主な業務
3. 建設工事における施工管理の重要性
施工管理の年収事情
1. 年齢別の平均年収
2. 建設業全体との年収比較
施工管理の年収に影響する要因
1. 経験年数
2. 保有資格
3. 企業規模
施工管理の待遇と働き方
1. 福利厚生やボーナス
2. 建設業界特有の手当
3. 大手企業と中小企業の違い
施工管理の働き方の実態
1. 1日のスケジュール例
2. 繁忙期と閑散期の違い
3. 働き方改革の影響
まとめ
建築の施工管理に携わる年収事情について知りたい方も多いのではないでしょうか。施工管理職は、建設業界の中でも高収入を得られる代表的な職種の一つですね。
この記事では、求人データをもとにした施工管理職の年収水準や、年収に影響を与える主な要因などについて解説します。経験年数、保有資格、勤務先の企業規模といった条件に応じて、どのくらいの年収が望めるのか、具体的な目安をご紹介できればと思います。
施工管理職は、建設業全体の平均と比べて高収入を得られる傾向にあるため、適切な転職活動を行えば、現在の収入をさらに上げることも可能になるでしょう。記事内で解説するデータを参考に、キャリアアップに向けた一助としていただけたら幸いです。
施工管理の仕事内容と役割
まずは施工管理の業務内容について説明しましょう。
1. 施工管理とは何か
施工管理とは、建設工事に従事し、設計図面やマニュアルに沿って、適切な技術と品質を確保しつつ、工程管理や安全管理などを行うことを指します。つまり、建築物が無事に完成するようサポートする役割を担っています。
2. 施工管理の主な業務
施工管理の主な業務は、工事現場全体の管理を通じて、計画通りに工事が進むようサポートすることです。現場の状況に応じて柔軟に対応しながら、工期や品質、安全性を確保する役割を担います。以下は、具体的な業務内容です。
- 工程の管理と進捗状況の確認
- 資材や人員の手配
- 品質と安全管理の徹底
- 書類作成や各種報告
- 関係者との打ち合わせや調整
3. 建設工事における施工管理の重要性
施工管理は、建設工事の中核を成す業務です。適切な管理がなされないと、工期延長や手戻りなどの問題が生じ、コストの増大や品質の低下を招きかねません。つまり、適正な施工管理の遂行が、建設工事の成否に大きく影響を与えるのです。
このように、施工管理は高度な責任と専門性を求められる職種です。そのため、報酬面においても優遇される傾向にあります。
施工管理の年収事情
施工管理者の年収は、年齢や経験、能力が大きく影響します。
1. 年齢別の平均年収
施工管理求人.comの求人データでは、こうした年齢別の平均年収が示されています。
施工管理者の年収は、年齢と共に着実に上昇する傾向があります。これは、経験やスキルの蓄積に伴い、責任ある業務を任される機会が増えるためです。また、資格取得や役職への昇進が年収アップに直結しやすい職種でもあります。
- 20代: 平均436.90万円
- 30代: 平均521.58万円
- 40代: 平均636.13万円
- 50代: 平均846.43万円
全体の平均は約551.71万円となっています。
2. 建設業全体との年収比較
施工管理の年収は、国税庁の統計データと比較すると全世代で建設業全体の平均を上回っています。
年齢 | 建設業全体の平均年収 | 施工管理の平均年収 |
---|---|---|
20代 | 387.51万円 | 436.90万円 |
50代 | 600.83万円 | 846.43万円 |
このように、施工管理職は建設業においても高収入傾向にあると言えましょう。
施工管理職の年収は、経験年数、保有する資格、企業規模などの要因により大きく異なります。
施工管理の年収に影響する要因
施工管理職の給与水準は、さまざまな要因によって変動します。では、具体的にどのような点に注目すべきでしょうか。
1. 経験年数
まず1つ目は、経験年数です。施工管理職は経験を重ねるごとに年収が上がる傾向にあります。
例えば、経験の浅い未経験者の月額給与は23万円台から40万円台が一般的ですが、10年以上の経験を持つベテランになると、年収720万円以上に達する場合もあります。つまり、年数を重ねるごとに給与が大幅にアップしていくのが特徴でしょう。
2. 保有資格
2つ目の要因は、保有する資格の種類や段位です。施工管理職にとって最も重要視される資格は、施工管理技士です。
施工管理技士1級を持つ方の場合、資格手当を含めた給与は平均で19,098円高くなり、最高で7万円の手当がつくケースもあります。2級技士資格でも、平均8,333円、最高3万円の手当が支給されるでしょう。このように資格の段位により手当額が大きく変わるため、高い資格を取得することで年収をアップさせられます。
資格種別 | 平均資格手当額 | 最高手当額 |
---|---|---|
1級施工管理技士 | 19,098円 | 70,000円 |
2級施工管理技士 | 8,333円 | 30,000円 |
3. 企業規模
そして3つ目は、企業の規模です。大手企業ほど施工管理職の給与水準が高くなる傾向にあります。
例えば、資本金が10億円以上の大企業では平均年収が735万円を超え、従業員数5,000人以上の超大手企業であれば平均743万円と、中小企業に比べて年収が高額になります。しかし一方で、中小企業であっても優秀な人材であれば十分に高年収を得られる可能性もあるでしょう。
このように、施工管理職の年収は、経験、資格、勤務先の企業規模など、さまざまな要因によって変動します。求職活動の際は、自身のキャリアを見直し、それらの条件をしっかりと考慮する必要があります。
施工管理の待遇と働き方
施工管理職は、建設業界全体の中でも給与や待遇が比較的良い職種とされています。しかし、その働き方や待遇には会社や現場によって違いが見られます。ここでは、福利厚生や手当、大手と中小企業の違いについて解説します。
1. 福利厚生やボーナス
施工管理職の待遇は他の職種と比較しても充実していることが多いです。多くの企業では社会保険完備に加え、住宅手当や資格手当なども支給されています。特に施工管理技士の資格を保有している場合には、資格手当が月額数万円に及ぶこともあり、これが年収に大きく影響します。
また、ボーナスについては、年収の10~20%程度が支給されるのが一般的です。建設業界は景気の影響を受けやすい分野ですが、インフラ関連の仕事は安定しているため、大手企業ではボーナスがしっかり支給されるケースが多いです。業績によって変動することもありますが、しっかりと現場での成果が評価される仕組みになっています。
さらに、福利厚生としては、通勤手当や出張手当が充実しており、特に遠方の現場で働く場合には交通費や宿泊費が全額支給される企業も多くあります。これにより、社員が働きやすい環境を整え、長期的なキャリア形成を支援しています。
2. 建設業界特有の手当
施工管理職に支給される特有の手当には、以下のようなものがあります。
- 現場手当:現場での業務に従事することで支給される手当。これにより、現場ごとの負担が反映され、報酬に直結します。
- 出張手当:地方や遠方の現場で働く場合に支給。長期の出張が多い場合には、基本給にプラスされる形で年収が大きく増加することがあります。
- 夜勤手当:夜間工事を担当する場合に支給される手当。夜間作業は通常の勤務よりも負担が大きいため、これが収入面での補填として支給されます。
これらの手当は、建設業界で働く人々のモチベーションを高めると同時に、業務の多様性や負担をカバーする重要な役割を果たしています。
3. 大手企業と中小企業の違い
施工管理職として働く際には、大手企業と中小企業で待遇や働き方に違いが見られることがあります。大手企業ではボーナスや福利厚生が充実しているだけでなく、年収のベースも高めに設定されていることが一般的です。また、教育体制が整っており、新人研修やスキルアップのためのトレーニングが提供されることも多いです。
一方で、中小企業では裁量権が大きい傾向があり、若手のうちから重要な役割を任されることがあります。特に現場の運営やマネジメントに直接関与できるため、短期間でスキルを磨くチャンスが得られる点が魅力です。ただし、給与水準や福利厚生に関しては大手企業に比べてやや劣ることがあるため、自己成長を重視する人には適しています。
また、現場の種類や規模も企業によって異なるため、自分の得意分野や興味に合わせて企業を選ぶことが重要です。将来的なキャリア形成を考える上で、大手企業と中小企業のどちらが適しているかを慎重に見極める必要があります。
施工管理の働き方の実態
施工管理職の働き方は、現場の状況や進捗によって大きく左右されます。日々の業務内容や繁忙期と閑散期の違い、働き方改革による影響について詳しく見ていきましょう。
1. 1日のスケジュール例
施工管理職の1日のスケジュールは、現場の進捗や規模によって異なりますが、一般的な例として以下のような流れがあります。
- 8:00~9:00:朝礼と作業内容の確認。作業員への指示出しや安全確認を行います。特に安全第一が求められる現場では、この時間にしっかりと危険箇所の周知を行います。
- 9:00~12:00:現場巡回と進捗確認。この時間帯には、作業員の作業状況を確認しながら、必要に応じて追加指示を出します。また、発注者や設計者との打ち合わせが発生することもあります。
- 12:00~13:00:昼休憩。現場作業員と同じく、施工管理職もこの時間に休息を取ることが一般的です。
- 13:00~17:00:施工図の修正や資材発注、打ち合わせなど。現場だけでなく、デスクワークも多く含まれます。特に施工図面の修正は、工事が設計図通りに進むために重要な作業です。
- 17:00~18:00:1日の報告書作成と翌日の準備。これには作業進捗の記録や、翌日の予定を関係者と共有するための資料作成が含まれます。
施工管理職はこのスケジュールを基に働きますが、現場の進捗が予定通りでない場合や緊急の対応が必要な場合には、柔軟に動く必要があります。また、夜間工事が行われる場合には、深夜に現場を巡回したり、作業状況を確認することもあります。
特に、大規模な現場や複数の現場を同時に管理している場合には、作業時間が長くなることもあるため、効率的なタイムマネジメントが重要となります。
2. 繁忙期と閑散期の違い
施工管理職の働き方は、繁忙期と閑散期で大きく変化します。繁忙期には多くのプロジェクトが同時進行するため、長時間労働や休日出勤が増える傾向があります。特に、工期が短いプロジェクトでは、スケジュール通りに進めるための調整が求められます。
一方、閑散期には現場の数が減少し、比較的余裕のある働き方が可能です。この期間を利用して、有給休暇を取得したり、資格取得やスキルアップのための学習に時間を割く施工管理職も多く見られます。
繁忙期には集中力と体力が試される一方、閑散期には次のプロジェクトに向けた準備や休息が重視されます。これらのメリハリがある働き方は、施工管理職の特徴の一つとも言えるでしょう。
3. 働き方改革の影響
近年の働き方改革は、施工管理職の労働環境にも大きな変化をもたらしています。特に、残業時間の削減や週休2日制の導入が進んでおり、従来の長時間労働のイメージが改善されつつあります。
2024年には、建設業界にも時間外労働の上限規制が適用される予定であり、これによりさらに働き方の改善が期待されています。特に、若手社員の離職防止や新規採用の増加を目的とした取り組みが進んでいます。
働き方改革は、施工管理職のワークライフバランスを向上させるための重要なステップであり、業界全体がより魅力的な職場環境を提供する方向に向かっています。
まとめ
本記事では、施工管理職の年収について、実際の求人データを基にした具体的な数字を提示しながら解説してきました。施工管理は、建設業全体と比べても高年収が期待できる職種であることがわかりました。
年数を重ねるごとに年収がアップしていくのが施工管理職の特徴です。経験が浅い未経験者と、10年以上の経験者では年収に大きな開きがあります。また、「施工管理技士」資格を持つことで高年収を望める可能性も高まります。さらに、企業規模が大きくなるほど、施工管理職への待遇は手厚くなる傾向もみられました。
転職に際しては、自身の経験やスキルを正しく認識し、しっかりと準備を整えることが重要です。
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