2025/02/19投稿者:スタッフ

建設業界の動向を知る

建設業界の現状と課題

1. コロナ禍による建設業界への影響

2. 建設業界の倒産件数増加

3. 深刻化する人材不足

4. 建設業界の市場規模

建設業界の主要な課題

1. 若年層の担い手不足と定着率向上策

2. 労働環境改善に向けた取り組み

3. 時間外労働の上限規制への対応

4. 社会保険未加入問題の解決に向けて

DX化の推進による業務効率化

1. IT導入による業務改善

2. 働き方改革に向けたテレワーク環境の整備

3. ICTとAIの活用による生産性向上

建設業界の海外展開

1. 新興国のインフラ整備需要

2. 政府によるインフラシステム海外展開支援策

3. 海外の多様な需要

まとめ

 

建設業界は、日本経済を支える重要な産業の一つですが、近年は人材不足や高齢化、コロナ禍の影響などの課題に直面しています。倒産件数の増加や市場規模の縮小など、厳しい現状が続いていますね。この記事では、建設業界が抱える課題とその対策、そしてDX化や海外展開など、未来に向けた建設業界の展望について解説します。様々な課題はありますが、それらを乗り越えることで、持続的な成長を実現できるでしょう。

 

建設業界の現状と課題

建設業界は、日本経済を支える重要な業種の一つですが、近年では様々な課題に直面しています。ここでは、建設業界の現状と課題について詳しく見ていきましょう。

 

1. コロナ禍による建設業界への影響

2020年以前は、東京オリンピックや都市再開発により建設業界全体で活況を呈していました。しかし、コロナ禍の影響で中小規模の現場での工事中止が相次ぎ、特に飲食店や宿泊業などのサービス業に関連した建設需要が大きく減少しました。

コロナ禍により、多くの中小規模の建設現場が顧客の需要減少に直面することとなりました。この状況は、建設業界にとって大きな試練となっています。

 

2. 建設業界の倒産件数増加

建設業界の倒産件数は、コロナ禍の影響で増加傾向にあります。2022年の倒産件数は1,194件で、前年比12%増加しました。2020年以前は減少傾向にありましたが、この流れが一変したのです。

倒産増加の背景には、コロナ禍による受注件数の減少、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇、円安による建設資材価格の高騰などがあります。さらに、発注者への価格転嫁が困難なことも、建設業者の経営を圧迫しています。

 

3. 深刻化する人材不足

建設業界では、人材不足と高齢化が深刻な問題となっています。労働者の年齢構成を見ると、55歳以上が全体の1/3を占めており、今後10年間で大半の高齢労働者が引退すると予測されています。

2025年には、技能労働者数が47万人~93万人不足すると予測されており、若年層の確保が急務となっています。しかし、建設業界の労働環境は厳しく、年間出勤日数は251.3日(全産業平均224.4日)、所定外労働時間は年間160時間(全産業平均132時間)と、改善の余地が大きいのが現状です。

 

4. 建設業界の市場規模

国内の建設業界市場規模は、2022年で14兆7,243億円(前年比2.0%減)となっています。2021年は15兆282億円(前年比10.6%減)で、コロナ前の2019年の16兆8,148億円から9年間の増加基調がコロナ禍で減少傾向に転じました。

一方、海外市場規模は2022年で2兆3,537億円(前年比47.2%増)と大きく伸びています。2021年は1兆5,993億円(前年比36.2%減)でしたが、海外インフラ需要の増加により回復傾向にあります。

 

建設業界の主要な課題

建設業界は、現在多くの課題を抱えています。続いては、建設業界が直面している主要な課題とその対策について詳しく見ていきましょう。

 

1. 若年層の担い手不足と定着率向上策

建設業界では、高齢化が進行しており、今後10年間で大半の高齢労働者が引退すると予測されています。これにより、2025年には47万人~93万人の技能労働者が不足すると見込まれています。建設業界の持続的な発展のためには、若年層の確保が急務となっています。

若年層の定着率向上のためには、以下のような対策が考えられます。

  • 若手技能者への教育機会の充実
  • 適切な賃金水準の確保
  • 週休2日制モデル工事の拡大による労働環境の改善
  • テレワーク環境の整備などの働き方改革の推進

 

2. 労働環境改善に向けた取り組み

建設業界の労働環境は、他産業と比較して厳しい状況にあります。年間出勤日数は251.3日(全産業平均224.4日)、所定外労働時間は年間160時間(全産業平均132時間)となっています。労働環境の改善は、若年層の定着率向上にも繋がる重要な課題です。

労働環境改善に向けた取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 週休2日制モデル工事の拡大
  • 適切な賃金水準の確保
  • 女性の活躍推進および教育訓練の充実
  • 社会保険未加入問題の解決

 

3. 時間外労働の上限規制への対応

2019年4月より、時間外労働の上限規制が建設業界にも適用されました。この規制により、月45時間、年360時間を超える時間外労働は原則として禁止されています。建設業界では、長時間労働が常態化していたため、この規制への対応が求められています。

時間外労働の上限規制への対応策としては、以下のようなものが考えられます。

  • 勤怠管理システムの導入による労働時間の適正把握
  • 業務の効率化によるムダな作業の削減
  • 適切な人員配置と工程管理の徹底

 

4. 社会保険未加入問題の解決に向けて

建設業界では、社会保険未加入問題が長年の課題となっています。社会保険に加入していない労働者は、将来的な生活の安定が脅かされるだけでなく、建設業界全体のイメージ低下にも繋がります。

社会保険未加入問題の解決に向けては、以下のような取り組みが必要です。

  • 元請け企業による下請け企業の社会保険加入状況の確認と指導
  • 行政による社会保険加入の徹底に向けた指導と監督の強化
  • 建設業界全体での社会保険加入の重要性に関する啓発活動の推進

建設業界はこうした残された課題に向き合い、効果的な対策を講じることが求められています。

 

DX化の推進による業務効率化

建設業界におけるDX化の推進は、業務効率化に大きく貢献します。ICTやAIの活用により、生産性の向上や働き方改革が進められています。ここでは、建設業界におけるDX化の取り組みについて詳しく見ていきましょう。

 

1. IT導入による業務改善

建設業界へのIT導入は、業務効率化に多くのメリットをもたらします。図面管理や施工管理のデジタル化により、情報共有がスムーズになり、ミスや手戻りが減少します。また、スマートフォンやタブレットを活用することで、現場での作業効率が大幅に向上します。

例えば、現場での写真撮影や報告書の作成をデジタル化することで、事務所に戻る必要がなくなり、作業時間を短縮できます。さらに、クラウドサービスを利用することで、リアルタイムでの情報共有や遠隔地からの作業指示が可能になります。これらのIT導入による業務改善は、建設業界の生産性向上に大きく貢献するでしょう。

 

2. 働き方改革に向けたテレワーク環境の整備

建設業界においても、働き方改革の一環としてテレワーク環境の整備が進められています。受発注業務や設計管理のオンライン化により、出社せずに業務を遂行することが可能になります。これにより、移動時間の削減や柔軟な働き方の実現が期待できます。

テレワーク環境の整備には、セキュリティ対策や社内規定の整備など、様々な課題がありますが、建設業界の魅力向上や人材確保につながる重要な取り組みです。今後、テレワークを活用した多様な働き方が広がることで、ワークライフバランスの改善や生産性の向上が期待されます。

 

3. ICTとAIの活用による生産性向上

建設業界におけるICTとAIの活用は、生産性向上に大きな効果を発揮します。ICTを活用することで、無駄な業務を削減し、業務品質を向上させることができます。例えば、ドローンを使用した測量や3Dモデルの活用により、現場の把握や設計の効率化が図れます。

また、AIを活用したロボットの導入により、危険作業の自動化や作業の高速化が可能になります。AIによる画像解析や予測モデルの活用により、建設プロジェクトの最適化や品質管理の高度化も期待できます。ICTとAIの積極的な活用は、建設業界の生産性革命の鍵を握っています。

 

建設業界の海外展開

建設業界において、海外市場は今後の成長戦略を考える上で重要な要素となっています。ここでは、建設業界の海外展開の現状や今後の可能性について詳しく見ていきましょう。

 

1. 新興国のインフラ整備需要

新興国では、経済発展に伴うインフラ整備需要が高まっています。特にアジアやアフリカなどの地域では、道路、鉄道、港湾、空港といった社会インフラの整備が急務となっています。

日本企業は、高い技術力とプロジェクト管理能力、信頼性の高さを強みとしています。これらの強みを活かし、新興国のインフラ整備需要を取り込むことで、海外市場での収益機会を拡大することが期待されています。

 

2. 政府によるインフラシステム海外展開支援策

日本政府も、建設業界の海外展開を後押しするために様々な支援策を打ち出しています。例えば、「インフラシステム海外展開戦略2025」では、日本企業の海外受注額を2025年までに34兆円に拡大することを目標に掲げています。

また、国土交通省の「インフラシステム海外展開行動計画2022」では、政府間協議や官民連携によるプロジェクト組成支援、金融支援の強化などが盛り込まれています。こうした政府の支援策を活用しながら、建設業界の海外展開を加速させていくことが重要です。

 

3. 海外の多様な需要

建設業界の海外展開においては、鉄道、港湾、航空、物流などの分野が主要なターゲットとなっています。これらの分野は、新興国の経済発展に不可欠なインフラであり、日本企業の技術力が発揮できる領域だからです。

例えば、鉄道分野では、高速鉄道や都市鉄道の建設プロジェクトが多数計画されています。港湾分野では、コンテナターミナルの整備や港湾運営の効率化が求められています。こうした分野で日本企業が優位性を発揮し、海外市場での存在感を高めていくことが期待されています。

建設業界の海外展開は、国内市場の成熟化に伴う成長機会の獲得という点でも重要な意味を持っています。新興国のインフラ需要を的確に捉え、日本企業の強みを活かしつつ、海外市場での収益拡大を図っていくことが期待されています。

 

まとめ

建設業界は、技術革新、人材育成、市場拡大など、様々な課題に直面しています。これらの課題に果敢に取り組み、未来に向けた新たな価値を創造していくことが、建設業界の発展につながるでしょう。業界全体で知恵を出し合い、持続可能な成長を実現していくことが期待されています。

この記事では、建設業界の現状と課題、主要な対策、DX化の推進と業務効率化、海外展開の状況、そして未来像と展望について詳しく解説しました。コロナ禍や高齢化の影響により、建設業界は大きな転換期を迎えていますね。

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